5/27/2008

ギャラリーでのイベント

この春からいろいろなイベントを企画し行ってきている。

何せギャラリーのスペースが完全に出来上がっているので人を呼びこむことをしなければならない。もちろんいろいろなショーを企画しているのだがそれだけではさすがに沢山の人を呼ぶことはできない。

4月にいくつかのレクチャーを企画した。前回のショーに関連してコロタイプについて講義をしてくれるJames Hajicekと、ワークショップの方はキャンセルになってしまったがDiana Bloomfieldもレクチャーをしに来てくれた。今回はギャラリーでの初めてのレクチャーであって足での方はまあまあだった。

そして写真関連の映画を見せるMovie Nightというイベントも始めた。これは集めたリストから写真関連の映画を上映して写真の社会での役割や使われ方というものを考えてもらおうという趣向である。見せようと思っているものはそんなに新しいタイトルではなく、あまり聞いたことのないまたは最近見ていないような映画を探そうとした。今回のタイトルはBlowupという60年代のサスペンス映画であった。

そして今回の中でも目玉なのはNEPというイベントだ。これは新人の写真家の作品を発表する場を作ろうというのが基でレクチャーを参加型の形でやってみてはどうかというものである。やはり写真家になろうと駆け出しの人は作品を発表する場所が提供されていない。もちろんギャラリーなどでもある程度の作品ができないと扱うこともしない。そういう新人写真家を呼んで作品のプレゼンをしてもらい観客から直接作品に対しての意見や感想を交換できる場を設けようというものである。

昨日初めてのNEPを行う。今回はEd DougertBrian Shumwayの新人作家を招待する。Edはかれこれ一年ぐらいProject Bashoに出入りをしている人でワークショップも一度とってくれている。Brianは今年の頭に行われたONWARDに参加して佳作をもらった写真家である。彼は今回のイベントの為にわざわざNYから参加してくれた。

Edはペンシルバニア州の東北に集中している石炭産業の足跡を撮影して来ている。今では廃坑になったところがほとんどなのだがその社会的環境的影響みたいなことをこのプロジェクトでカバーしようとしている。イメージとしてはその跡地から実際に炭坑のでの仕事で移民してきた人によって作られた教会などまでも幅広く撮って来てている。話を聞いているといかにこの被写体について造形が深く、そして自分で作品を作るということによってその歴史や社会背景などを知ろうという姿勢がわかる。彼はかなり長い期間このプロジェクトに携わってきている。

Brianは自分の育ったUthaにある小さな町に住んでいる子供たちの写真を撮って来ている。モルモン教の集まりで始まった町なのだが自分のお姉さんの家族がまだ住んでいるらしい。毎年彼らを訪ねては写真を取り集めているようだ。

今回のイベントは見に来ている人がいろいろな形で批評や意見を述べることを目的としている。僕たちは質問用紙を作ったりプレゼンテーション後の質問のやり取りを活発にするためいろいろ準備をして来た。初めてにしては両方ともの作品について活発な意見交換がされていたので内心ほっとする。

このようなイベントを行う時にいつも心配なのはどれくらい人が集まるかということである。毎回インターネットやメールを通して告知はするしいろいろな形でできるだけの宣伝はする。かなり面白いことをやっているとは思っていてもさすがに現代の人は忙しいのであろうか。今回は意外と人が集まり15人ぐらいギャラリーに来てくれた。時間はかかるかもしれないがこれから面白い新人を探していってもっと人が集まるイベントにしていきたい。

5/24/2008

Project Bashoのホームページ

昨日からひたすらウェッブサイトのコードを眺めている。

いろいろイベントを始めた為にスタジオで行われている一連の活動をウェッブサイトで簡単に知らせることが必要だと前々から思っていた。今までのデザインだとホームページからもう一階層入っていかないとスタジオで何が起っているかわからなかった。しかも各階層は暗室やらワークショップやらといろいろ分かれていて全ての活動を一目にすることができない。これを解決しようとしている。

基本的にホームページはとてもシンプルにできていてそのシンプルさがあまり人を惑わすことなくうまくいっていると思っている。そこにいろいろなイベントの情報を空白に入れていくのは最悪の方法であろう。何せ情報が整理されていないサイトほど見苦しいものはない。これはGoogleなどがホームページを変えない理由でもある。最初のページはシンプルで残しておきたい。

新しいページを作りいろいろなイベントの情報を載せホームページからリンクする方法がある。これは一般的で最も妥当な方法であるような気がした。ただ問題なのはホームページはナビゲーションとして機能していてここから訪れた人の興味のある部分に進むことができる。つまりこのホームページにまた戻ってくる必要がでてくる。そして僕はもっと瞬間的にイベントの一覧表を見せたいと思っていた。

リンクよりもっと瞬間的なものとしてポップアップウィンドウがある。クリックすることによって新しいウィンドウが現れるわけだ。この利点は最初のページがそのまま残っていることだ。ホームページがナビゲーションとして機能している以上これはとてもよい解決方法である。問題点はポップアップウィンドウはかなり悪用されて来た為見ている人がとても嫌う。

そんなことを考えている時にあるページにたどり付いた。このDirectoryというリンクをクリックすると同じページ内のアンカー先にページが動く。アンカーはよく同じページの中で使われているリンク方法で特に新しい方法ではない。しかしこのページの面白い所はホームページと一覧表の部分を離すことによってホームページを見ている時は一覧表はスクリーンの外にでていて全て隠れている。つまり最初のページのシンプルさをうまく保っている。その上同じページにある以上既にダウンロードが済んでいて、行き来するのに時間がかからない。これは正直言って思いも付かない方法だった。

このアイデアをサイトのデザインの手伝いをしてくれるMollyに伝えてみるともう少し高度で面白い方法探して来てくれる。Javascriptを使った方法でこのように動く。これは動き方がとても面白く1と0の感覚ではなくその途中がスクロールとして体験できるのがよい。早速スクリプトをダウンロードしていろいろ試してみるが僕にはちょっと無理だということにすぐ気付く。実際に自分のサイトに当てはめようとするとかなり難しい。僕はプログラマーではないのでなるたけ簡単な方法でしかものを解決できないというように自分に言い聞かせている。

今までの例を見ながら大体解決方法のアイデアはまとまって来た。こんなことをMollyとやり取りしているうちにもう一つの解決策を見たことを思い出す。サイトのデザインに使っているソフトを作っている会社がおもしろ方法でページを瞬時に変えることをしていた。Mollyにそのことを伝えると彼女は早速そのハックの方法をネット上で探して来てくれる。CSSとHTMLの組み合わせが結構複雑なのだがなんとかできるだけのことをやってみる。そのコードと睨み合うこと一日、新しいホームページができて来るのである。

乞うご期待。

5/21/2008

ICPでの日本の写真家展

前々からOmarが今回のICPでの日本の写真家展は面白いからオープニングにぜひ来いと誘われていた。最後まで悩んでいたがちょっと顔を出してみようと思い夕方のバスでNYへ向かう。

今回の展示はHeavy Lightというタイトルで現在の日本人の作品が幅広く紹介されている。「写真をやって来た」という人達と最近の「アートとしての写真」までいろんな作家が紹介されていた。正直言って日本の写真事情などは全くわかっていなくレファレンスのポイントがなかった為ある意味で新鮮に感じられた。こんな被写体をこのように撮っているのかと見させられたという感じである。

僕は前々から日本ではストレートフォトグラフィーばかりなのではないかと思っていた。自分も日本の写真雑誌を見て影響されて来た為そのように思うのかもしれない。そのもう片一方で最近のコンセプチュアル作品がある。これはどこに行ってもある傾向で写真が絵画やイラストレーションのように「作り上げられている写真」である。あまりにも簡単な分け方かたかもしれないが大まかな所ではそう外れてもいないと思う。このような両極端な写真が出回っている中僕が常に興味があるのは両極端ではなくうまくバランスの撮れた作品が作れないのかといことである。

今回のショーに昔から好きな写真家として鬼海さんがいる。浅草で長年撮っているポートレートの作品である。初めて鬼海さんの作品を知ったのは日本と発つ前だから13年ぐらい前になるだろうか。一度雑誌に載っていた写真を見て彼の本を購入した。僕は彼の作品を見る前にディアンアーバスの写真を知らなかったがこんなポートレートを撮る人がいるのかと思ったことを記憶している。

そんなことでオープニングでOmarに鬼海さんを紹介してもらう。この前電話で話した時にOmarは最近鬼海さんの写真を購入したことを話していたから顔見知りでもあるのだろう。思ったより静かな方で正直言って彼のなまりにちょっと少し戸惑った。マネージャーの方はいろんな方と話していて鬼海さんは少し場になれない様子だった。

前回買った「やちまた」の話や今回の新しい本の話をする。そんな話をしていると鬼海さんを話そうと会話に入ってくる人が一人いた。鬼海さんがマネージャーの方を見ると彼女は忙しそうに囲まれた人と話をしているので返事に困っていた。僕が彼の通訳ををしてあげるとチェルシーでも僕は有名なギャラリーのYossi Miloさんだという。鬼海さんの作品に興味があるらしくひたすら作品のことを聞いていた。

フィラデルフィアではあまり日本人で写真活動をしている人があまりいないのだがさすがNYということでいろんな人に紹介される。写真活動をしている人から歴史などを勉強していて将来キュレーターになろうとしている人など。NYは少し空気が違うなと感じる。「フィラデルフィアで活動をする意味とは?」などという問いがふと頭をよぎった。

中でも驚いたのは高校の時の友達に会ったことであった。彼女は今は写真家のアシスタントをしていてその人と一緒にNYに来たらしい。15年ぐらいたつのだがお互いのことがわかったのはすごい。

フィラデルフィアに帰って来た時には夜中の12時を回っていた。

5/19/2008

7x17と東京

昨日の夜からひたすら現像をしている。

土曜日に撮ったGrid Projectの写真をどうしても現像しようと思い現像を始めたら日本で撮った写真も現像し始める。 去年の暮れに撮った日本からの写真は4x5の現像は終わっていたが7x17と8x10の方はほとんど手を付けていなかった。今日朝早くからKevinが来る前に現像し始めて夕方彼が帰ってからまた現像を続ける。これで日本からの7x17は全て現像が済んだ。

今回日本に11年ぶりに帰って思ったことの一つにいかに道が狭いかということがあった。実際に帰る前は7x17で実家の近所の写真を撮りたいなどと思っていたのだが帰ってみるとあまりにも引くスペースのなさに驚いた。風景を撮るにはとてもなれて来ている7x17だがどのように東京の環境で撮影してよいか正直迷った。

一番最初に使ったのは西丸さんを芝浦のPGIに訪ねて行った時だった。PGIをでてから東京湾の方へふらっと歩いてでてみて運河とうねったモノレールのレールそして遠景に見える東京のビルという組み合わせを撮ってみた。それから湾の方へでてみるが写真を撮れそうな所がなく品川の方へ抜ける途中でまた数枚撮る。

次は大晦日に築地にカメラを持って行ったがさすがに人ごみで使えなかった。歩道橋の上で久しぶりに会った友達のことを撮りそれからその足で上野に行ってみる。なぜか西郷さんを撮ってみようなんて考えた。その頃には空は結構暗くなっていたのでかなり長い露光時間で撮影を続けた。そして上野の繁華街の写真も撮る。

年が明けてから友達の家に訪ねた時にまたカメラを持って行った。彼は高層アパートに住んでいるということでアパートから見える景色を数枚撮影した。フィラデルフィアでも撮っているように縦長とそして横長のパノラマを東京の高層ビルを中心に撮影した。この時は東京の大きさに飲まれるような覚えがした。

最後は帰国する前の日に五反田に住んでいるおばあちゃんの所へカメラを持って行く。小さい時から通っていたおばあちゃんの家のあたりを撮ってみようと思った。実家のあたりよりも道の幅が少し広く東海道新幹線が走っている線路もあるのでスペース的にもう少しゆっくりと撮ることができた。入り組んだ道を主に持っているフィルムを使い切る。

こんなように今回東京を7x17で撮影したのだが結構いいものが残っている。写真を撮っている時にこれは結構行けるという感触持ちながら撮っていたが実際に現像されたものを見ると余計に説得力がある。何を追っているかはっきりとはしないが何かいいものが写っているように思える。これは11年ぶりに帰ったからであるのかそれとも実際に何か形に成りうるものがあるのか?とにかくフィルムを沢山買ってもっと東京を撮影したいと思った。